「犬のおまわりさん」という童謡があるが、akiharu国で警官といえば猫を指す。  なぜ猫が警官なのか諸説あるが、そのひとつが体の大きさである。  akiharu国には100m級の巨大猫がいるが、種族的には人知類やカマキリと比べ、体が小さい者が多い。  akiharu国の警察は警察署1軒に交番4軒と、大人数で活動するには施設が小規模である。  そのため、体の小さな猫が警官をすることで、より多くの動員ができるようにしているというのだ。  パトカーに乗ったり、超能力で空を飛んだりすれば、少ない人数でも効率よく広範囲を見ることができると思うかもしれない。  しかし、警察の目的は社会全体が平穏無事であるであり、そのためには地域住民との協力が不可欠である。  ちょっとした悩み事があるとき、パトカーで走る警官と道を歩く警官、どちらが相談しやすいだろうか。  人々と信頼関係を作るためには、非効率に見える徒歩のほうがかえって効果的なのである。  また、体の小さな猫は威圧感がないため、相手に警戒感を与えることなく、接することができる。  見知らぬ猫が家の敷地内にいても、それを問題にする人はいないだろう。  コタツに入り込んでも許せるかもしれない。  だが、これが人知類やカマキリならどうだろうか。  そのような点が猫が警官をしている理由と考えられている。  といっても、akiharu国の市民はよくいえば親切、悪くいえばおせっかいで、夫婦喧嘩の仲裁や観光客の道案内くらいなら公権力に頼らず、ご近所さんだけで解決してしまう。  また、詐欺や万引きに対する啓蒙活動は、ヒーロー協会がヒーローショーとして主催しており、こちらも警察の出る幕はない。  警官が活躍するときといえば、落とし物の保管やお祭りの交通整理ぐらいだろう。  もっとも猫たちは、事件を解決して感謝されるより、給料泥棒と呼ばれるくらい平和な社会を望んでいるため、問題にはしていないようである。