akiharu国学園都市(仮称)(以下、学園都市)はakiharu国に存在する学術都市である。  その目的は、個々の藩国民がより良い方向へ発達し、社会を発展させることである。  学園都市の開発計画は、必要以上に規模が大きくならないように抑制している。  これは郊外化が進展し、自然環境が損なわれるようなことがないようにという理由からである。  また、交通網や電線、上下水道などの整備と維持にかかる費用を少なくするためでもある。  学園都市は天災や空襲でのライフライン停止に備え、電気やガス、水道に依存しすぎないよう設計されている。  たとえば、学校の机やロッカーは木材で作られており、いざというときは壊して薪にできる。  学園都市は、下は保育所、幼稚園から、上は大学院まで、幅広く取り揃えている。  そのため、各人の趣味嗜好や能力に合わせ、好きなところに入園、入学できる。  初等教育は義務となっており、基本的に国民は小学校から中学まで入学しなければならないことになっている。  ここでいう国民とは人間やカマキリなど、akiharu国に住む知類である。  これは、悪党に利用されない、最低限の知識と知恵を身につけることを目的としている。  文字が読めなければ、不当な内容の誓約書に拇印を押すかもしれない。  また、深く考えることがなければ、反社会的な扇動に対し、理性的な判断ができないだろう。  悪に加担するといったことも考えられる。  そういったことがないよう、藩国民全員に就学するよう決めている。  ただし、実際には義務教育中の免除や飛び級、飛び入学は認められている。  これは寿命が短く、刷り込みで生まれたころから知識、良識が十分にあるカマキリを考慮したためである。  特定科目のみ優秀な場合、その教科だけ上の学年で受けるということもできる。  むろん、学力不十分な生徒が誤って免除や飛び級になることがないよう、注意を払っている。  高等教育である高校以降の入学者は、希望者の中から面接や試験によって選ばれる。  このとき、どの学校も共通して重視されるのが人格と倫理観である。  これには二つ理由がある。  ひとつは身につけた知識の悪用を防ぐためである。  そのため、セプテントリオンやその他悪意を持った者は入学できないようになっている。  もうひとつは社会へどの程度貢献するか知るためである。  高等教育を受ける者はそうでない者よりも社会的成功を収めやすい。  そのため、教育によって格差が生まれる。  しかし、財産や権力を得た者が自発的に滅私奉公すれば、この差を小さくすることができる。  したがって、そのような仕事につくことを誇らしく思う者を優先的に入学させている。  幸いなことにakiharu国には変身ヒーロー協会という組織があり、「強い者が弱い者を助けるというのはヒーローみたいでカッコイイ」という国民が多い。  ゆえに、学校が定員割れする心配は今のところない。  学園都市は高校や大学は複数あり、学生は自分に合ったところを自由に選択することができる。  また、申請をすれば他校の授業でも受けることができる制度も用意されている。  これは各校が互いに競い合うことで、よりよい教育環境へと発展することを期待しての制度である。  高校までの各学級は少人数制となっている。  あまり教室の生徒の数が多いと学級崩壊になる危険性があるからである。  そのため、教師が指導しやすいようクラスの生徒の数は制限されている。  また、なんらかの原因で教室が荒れた場合、そのクラスの教員の数を増やしたり、保護者に見学させるなどの方法で対処している。  学園都市は、交通弱者のため、鉄道やバスなどの公共交通が整備されている。  樹木が生い茂り、カマキリやサイキッカーが飛行するakiharu国において、交通弱者とは空を飛べない者のことである。  集団登校で空を飛べない者を飛べる者に運んでもらうということもできなくはない。  しかし、あまり距離があると疲れてしまうし、飛行中にうっかり落としてしまっては大事故につながる。  学友を傷つければ、落としてしまった生徒も悲しいだろうし、PTSDになるかもしれない。  そのため、公共交通が整えられている。  身体障害者のため、駅や校舎はエレベーターが完備され、様々なバリアフリー化が試みられている。  たとえば、視覚障害者のために、エレベーターボーイ、エレベーターガールを乗せたり、ボタンに点字を添えたりしている。  また、入り口を前後につけ、車いすの人でも方向転換せず乗り降りできるようにしている。  同様にバスもノンステップバスとなっている。  おまけに悪の組織がよくやるバスジャックに備え、犯人に気づかれることなく、周囲に危険を知らせられる隠しボタンが装備されている。  電車は走行音で学生の勉強を邪魔しないよう、騒音対策が施されている。  また、乗降扉の近くに、高齢者や障害者、妊婦などが優先的に座るシートが用意されている。  いわゆる優先座席である。  なお、上記のようなハンディキャップを抱えた知類に対しては優先座席以外でも席を譲ることが推奨されている。  その他、利用者の要望に応じて、以下のような車両が準備されている。 ・痴漢防止のための女性専用車両 ・冷房が効きすぎで寒いと感じる知類のための弱冷車 ・ペースメーカーを使用する知類のための携帯電話電源オフ車両  駅構内の自動販売機は利き腕や身長に関係なく、使いやすいようになっている。  この自販機は災害時には商品が無料開放される。  余談であるが、akiharu国では機械は動植物と同等に扱われている。  知識として機械と動物の違いは知っている。  しかし、かれんちゃんを代表するドロイドが住んでいることもあり、知性のある者は他の知類と同様に接している。  また、いわゆる普通の電車や自動車も、知類ではない馬やラクダ、ロバと同列とされている。  I=Dの墓があることからも分かるように、akiharu国の生き物は他国のそれより広いのである。  そのためか、akiharu国民は道具や乗り物を大切にしている。  経済的理由で授業料が払えない学生のために奨学金が用意され、食事も支給される。  給食は味や栄養バランスはもちろん、アレルギーや食文化も考慮して調理されている。  学食は24時間営業で、夜食や文房具、参考書などを売っているコンビニもある。  多くの学校は教科書を学校から生徒に貸し出ている。  いわゆる貸出し制である。  それは以下の理由からである。 ・教科書を買うお金がない生徒のため ・同じ教科書を使いまわすことで木材資源を節約するため ・教科書に落書きしたりしないようにするため  (借り物の教科書に落書きすれば、弁償しなければならない)  なんらかの事情で通学や学習が困難な生徒のため、以下のような設備も用意されている。 ・自宅との距離が長い生徒のための学生寮 ・仕事の都合で就学困難な生徒のための夜間学校  (注意:学齢超過者が全日制の学校に入学することを規制するものではない) ・不登校や登校拒否、ひきこもりの学生を対象としたサポート校 ・病気や障害を持つ学生のための特別支援学校  また、体が大きすぎて校舎に入れないカマキリのため、郵便やテレビ、ラジオ、ナショナルネットなどを使った遠隔教育も行われている。  学園都市の運営は生徒会連合によって行われている。  生徒会連合は予算や教育方針、時間割編成、教職員の雇用などを管理している。  これは教育を受ける生徒のほうが学校生活の充実や改善に対し、熱心と思われるからである。  また、教育によって今後の人生を左右しかねないという重責を持つ教師に、それ以外のよけいな負担を与えないようにという配慮もある。  以上のように充実した設備と周囲の森林から、学園都市は学校要塞とも呼ばれている。