◎基本装備 ○"インペリアルハウンド"タクティカルスーツ 十分な信頼性を持った中では最新の技術を用いられた、歩兵用戦闘服。 一見して合成皮革に似た質感の、頭部を除く全身を覆うツーピース式(つまりは上半身と下半身に分かれた)アンダースーツと、その上から装着し主要部を守るプロテクター、そして高機能バイザーで構成されている。 アンダースーツは伸縮性・防刃性・防水性・耐熱/寒性に優れた量産合成素材が用いられれており、湿地や砂漠、寒冷地といった多種の環境で比較的快適に着用でき、徒歩での渡河等の状況においても問題なく機能する。 プロテクターは耐弾性・耐衝撃性に優れた複合合成繊維を防弾用セラミックプレートで覆った構造となっている。 このプロテクターは人体の弱点や近接攻撃の受けに使われる箇所を守っており、具体的には、肩と胸部・背部を一体的に防護するブレストガード、肘を含む前腕部を覆うアームガード、股間部を含む腰部を守るウエストガード、膝を含む下腿部から足先までを包むレッグガードの4種がセットとなっている。また弱点であるものの覆うことによって動きを妨げてしまう腹部と脇腹に関しては、アンダースーツ側に稼動域を確保しつつ一体化された形で装備されている。 高機能バイザーは単なる防具ではなく、光学透過式デジタル支援表示機能(要は外の情景を通しつつも、情報表示も行う)を持った、統合支援装備である。 後述の戦術支援端末とリンクしての使用が基本となるが、大光量・低光量補正といった機能はスタンドアロンで作動する。 ○"シガーケース"戦術支援端末 兵士を戦場ネットワークに接続しつつ、各種戦術情報をもたらす携行用コンピューター。前述の高機能バイザーと連動するが、こちら側にも折りたたみ式ディスプレイが用意されている。 「葉巻入れ」は言いすぎであるがかなりの小型化が為されており、通常は利き腕とは逆側の前腕部内側に固定され、利き腕側のみで操作する。 あくまでネットワーク端末と個人レベルの戦術支援に用途を割り切ることにより、耐久性と実用的な処理能力を保持しつつ、小型化と量産性を確保している。  分隊・小隊指揮等の支援に関しては、ネットワーク上位との連結によって実現する。 ○"ベルトパックス"物資携行装具 タクティカルスーツが構造上ポケット類を設置し辛いため用意された装備。 基本的には4点式シートベルトの様な形でスーツの上から装着するベルトで、各種バッグ・ポーチ類や携行火器固定具等を装着するためのジョイントが多数埋め込まれている。 兵士個々の装備や任務に応じてそれらを装着することにより、必要な物資の携行を実現している。 ○その他 戦闘糧食やサバイバルキット等が、状況に応じて各自に支給される。 ◎武装類 ○AAR−02 歩兵用発達型突撃銃 AARとはadvanced Assault rifleの略である。愛称はカメレオン(組み換え可能な点から)で、、後述の各モデルはカメレオン(突撃銃)、カメルスナイプ(狙撃銃)、カメルショーティ(QCBモデル)と呼ばれる。 全長700mm、銃身長400mm、重量3200g、発射速度750発/分、銃口初速980m/秒、有効射程500m(それぞれ基本となる突撃銃仕様のデータ)。 第七・五世界などで普及している、携行量と貫通性に優れた5.56mm×45口径弾薬を使用するアサルトライフル。既存弾薬を採用しているのは生産性の確保と他世界での補給を重視した選択である。ただし第七世界の弾薬と比べると高度な装薬を用いており、弾頭初速がやや速い。一方で同規格の弾薬であれば他世界産の弾薬も使用可能である。 射撃モードはセレクターによりセミオート、3点バースト、フルオートを選択できる。 また素材技術の向上により、十分な強度と耐久性を持ちつつも軽量化を実現しているのも特徴。 十分な銃身長と取り回しの良さを両立するため、機関部を銃床内部に収めたブルパップ構造となっている。 また全体として人間工学に基づいた設計がなされており、良く手に馴染み、サムホールも含めて素早くかつしっかりと保持できる。 内部構造は部品組み換えによる多様性と将来的な発展性を見越してモジュラー化が為されており、各部の換装が容易である。 基本となる突撃銃モデルの他、銃身を650mm長のものに換装し折りたたみ式ニ脚架を付与、セミオート射撃のみに限定した狙撃モデルと、銃身長250mmと短小化しつつも射撃モードは基本モデル同様のQCBモデルが存在する(後述のPDWと違い、こちらは市街戦や空挺作戦等、小型さが有用となる状況での主力火器として使用される)。 また銃上部と銃身下部にアタッチメントレールが、銃身後方左右に小型レールが設けられており、各種オプションモジュールを装着可能。 銃上部には標準のデジタル支援表示機能(と言っても距離計程度)付き1.6倍光学スコープのほか各種スコープ類を、小型レールにはフラッシュライトやダットサイトを状況に応じて装着する。 銃身下部は補助火器モジュール用に設けられており、標準の40mmMGLM(multiple Grenade launcher Module:通常型の擲弾のほか、煙幕弾や催涙弾といった特殊弾薬を発射できる擲弾発射機。装弾数1)の他、近接戦・ドア(の鍵)破壊用12ゲージショットガンモジュール(装弾数3)、変わったところでは銃剣ユニットも用意されている。補助火器を使用しない際には、フォアグリップ付きのカバーを装着する。 着脱式弾倉は30発湾曲箱型弾倉(いわゆるバナナマガジン)が標準だが、既存の同種弾薬用弾倉の多くも流用できる設計となっている。 簡便な整備性、十分な防水・防塵性なども重視されており、実戦用火器としての高い信頼性が確保されている。 ○SAW−07 分隊支援火器 SAWとはSquad Automatic Weaponの略。愛称はイグアナ(カメレオンより大きいところから)。 全長900mm、銃身長470mm、重量5700g、発射速度850発/分、銃口初速1030m/秒、有効射程800m。 AAR−02の設計を流用しながらも、組み換えによるバリエーションとしてではなく、別種の機関銃として開発された分隊支援火器。敢えて設計を流用した理由は部品共用率を高めることによる生産性の向上が狙いであり、一方で単体完成型としたのは設計の自由度を確保して分隊支援用途に十分な性能を確保するためとなっている。 軽量な点もAAR−02と同様の理由に由来している。 使用弾薬はAAR−04と共通の5.56mm×45であり、専用の箱型100発弾倉を使用するほか、AAR−02を含む多くの5.56mm×45弾用弾倉を流用できる。弾薬を共通化したのは戦場での融通性のためである。 折りたたみニ脚架と工具無しで簡易に交換可能な銃身を持つため、持続射撃を容易に行える性能を有する。 分隊支援火器だけあって基本的に1人で携行でき、機動を伴う野戦において効果を発揮するべく設計されているが、同種の火器としては珍しいブルパップ型を採用しており、高い携行性を持つ。これは素材由来の軽量性とあいまって、市街戦等での狭所戦闘での扱いやすさをもたらしている。 またAAR−02と比べて銃床部分は延長・大型化されており、サイズに応じた適正な重心バランスと射撃安定性を確保している。 簡便な整備性等、実用兵器としての信頼性を重視した設計はAAR−02同様となっている。 ○PDW−05 個人防御火器 PDWとはPersonal Defense Weaponの略。愛称は特になく、単にPDWと呼称されている。 全長は350mm/540mm(ストック収納時/展開時)、重量1200g。 PDWとは、施設警備など後方任務における自衛用火器として見た場合、アサルトライフルのカービン型では大きすぎ、サブマシンガンでは性能が不足するとして開発されたもの。小型軽量低反動で扱いやすく、200〜300mほどの適度な有効射程と小銃類並みの貫通性能、そして十分な装弾数を持った小火器となっている。 しかしPDW−05は前述の用途も企図されているが、それよりも高精度ライフル装備の選抜射手や分隊支援火器を運用する支援射撃兵といった近距離戦闘に適した火器を持たない兵種の補助的な自衛火器を意図して設計されている。 その為外形は極力突起物を排除して咄嗟の抜き打ちを容易としており、内部構造も簡素かつ堅牢化されており、野戦環境でも問題なく運用できるだけの耐久性を持つ。またまっすぐ後方に引き出して使用する収納型ストックや、銃身下部に簡易的な折りたたみフォアグリップを持ち、双方を展開した際には安定した精密射撃も可能となっている。 使用する弾薬はPDW専用として開発された4.5mm×31弾薬で、小銃弾をそのまま小さくした様な形状。PDW−05用として新規開発されたものではなく、以前から生産されている弾薬である。 発射速度900発/分で初速740m/秒の銃弾を送り出し、その有効射程は250m。弾薬消費抑制と射撃時操作性確保の観点から3点射専用となっている。 弾倉は15発のものと30発のものが用意されており、補助火器として用いる際には前者を、主武装とする際には後者を用いるのが通例。 機関部上部にはアタッチメントレールが存在し、各種スコープやダットサイトを装着可能なほか、未使用時には軽量カバーをかけて突起物を無くすこともできる。 携行性向上のため通常型ホルスターの他にスコープを装着したまま使用できる特殊ホルスターも生産されており、双方共に抜き打ちが容易な構造が為されている。 ○ATWS−01 歩兵携行用対戦車兵器システム ATWSとはanti tank weapon systemの略である。愛称はアトゥース。 従来の個人携行用対戦車無反動砲・ロケット砲・ミサイルの延長線上にある、歩兵が携行するための対戦車小型軽量火砲。再使用可能な照準装置付き発射機(携行時に砲身を縮めることが可能)と各種弾頭を組みあせて用いることから、システムという名が用いられる。装弾・照準・発射といった運用を1人でできる。 火薬・材質等の各種技術の進歩から、有効性を保ちつつも小型化・軽量化が為されており、発射機の口径は60mm、発射機重量4.7kg、発射機全長は射撃時930mm/携行時780mmとなっている。 使い捨て圧縮空気カートリッジにより弾頭を発射した後、ロケットモーター等に点火する方式となっており、従来の対戦車ロケット等に見られる後方噴射炎がないため扱いやすい。 主に用いられる弾種は発射後に自立誘導を行う撃ちっ放し型の対戦車ミサイルで、誘導方式は非冷却型赤外線画像を使用し、タンデム型の成型炸薬弾頭(装甲貫徹力500mm)を持つ。他にも無誘導型の対戦車成型炸薬弾頭ロケット、無誘導対軽装甲目標・陣地用多目的ロケット榴弾、発煙弾、照明弾など、多種の弾頭を使用できる。 弾薬の全長は種別によるが概ね600mm、重量は4.5kg〜6kg。よって、弾薬を装填したシステム全体の重量は最大でも12.7kg程度となる。 前装式だが砲弾はパッケージ化されており、砲身内部にセットするだけの簡便な装填が可能。発射速度は標準で5発/分とされている。 通常は発射機と砲弾2発を1人で携行する。 ○HG−07 空力型手榴弾 HGとはHand Grenadeの略称。愛称はフリスビー。広範囲を殺傷する破片手榴弾である。 旧来の球形手榴弾を扁平に潰した様な形状をしており、これは空力的な抵抗を減らすためのもの。投げ方によって従来同様の用い方も出来、またフリスビーのように回転をかけつつ投げることによりより遠くまで到達させることができる。このため、適切な使用技法を会得するのに従来よりも長い時間を要するという欠点があるものの、熟達すれば曲線軌道を取らせて障害物を避けるといった使用が可能となる。 内部は爆薬を納めた中心構造物を中空部をはさんで空力構造体が包んだ構造となっており、空力構造体内面には溝が掘られており、爆発時には殺傷破片となる。また爆薬と共に金属製ワイヤーやベアリングが仕込まれており、殺傷力を増大している。 防水密閉構造のため、雨天でも問題なく使用可能。 起爆タイミングは5秒と10秒の二種類を、簡便なスイッチで選択できるようになっている。従来型の投げ方では前者を、遠距離空力投擲では後者を用いる。 なお前述の欠点から、比較的訓練が容易な従来型手榴弾を使用する者も居る。 ○SB−07 伸縮式電撃警棒 全長30cm/50cm(収納時/伸長時)、重量1kg、電圧20万V。 SBはstun batonの略である。愛称は電鞭(第七世界古代中国の武器、鉄鞭から)。 いわゆる三段ロッド型の非殺傷電撃兵器。暴徒鎮圧用に設計されており、単純な打撃武器として使用し得る強度と耐久性、重量を持つ。 一段目となる部分は威嚇効果を考え、まるで鬼の金棒のごとく丸い突起部分が散りばめられている。 愛称が示すようによくしなる材質を用いており、これに由来して打撃武器としては複雑な構造ながら耐久性と威力を両立している。 電圧は20万Vと大きな数字を持つが、電流が抑えられているので原則として電撃そのものによる殺傷力はなく、神経網を強烈に刺激して行動を困難にさせる効果がある。その効果は皮のジャケット程度では防げないレベルにある。 また万一破損した際の漏電を防ぐ機構を内蔵するなど、安全面にも配慮されている。 電流を流さずに単純な打撃武器としても使用可能で、熟練者が用いれば急所を打っての殺傷も可能であるが、基本的には暴徒等を無力化するのに用いる。 電源は専用バッテリーを用い、充電器を介して家庭用電源からの充電も可能。また軍用急速充電器も用意されている。 打撃武器としての有効性確保の観点からかなりの重量を持たされているが、ナイフ代わりに普段から戦場に持ち込む猛者も存在する。 ○その他 作業ツールとしての機能を持った軍用ナイフは兵士各自に支給されており、また各種拳銃を自費で入手、装備する者も見られる。