〜古代akiharu国の神話〜

かつての古代akiharu国では、人や猫たちが毎日お気楽に暮らしていました。
そんなときです、地底から突如として大きなカマキリたちが現れたのです。

人や猫たちは、次々にカマキリたちに食べられていきました。
だって、カマキリたちは目の前で動くものはつい食べてしまうのです。
それが本能なのです。

人や猫たちはカマキリを恐れ、高い高い塔を建て、空へ空へと逃げました。
カマキリから逃れ、塔の上で息を潜めて生きるようになったのです。
そして、地上はカマキリたちによって支配されてしまいました。

時は流れ、繁栄を極めたカマキリにも終わりの時が訪れました。
冬です。

冬の寒さの前に、カマキリたちは次々と倒れていき、
後には卵だけが残されました。

カマキリたちが死に絶えたことを知り、地上へ戻ってきた人や猫たちは思いました。
『この卵を始末してしまえば、もうカマキリに怯えることはなくなる』と。

まだ生まれてもいないものを、殺してしまうのはかわいそうだという声もありました。
ですが、人や猫たちは、自分たちを住み慣れた地から追い払ったカマキリが憎かったのです。
そして何よりも、カマキリの力が恐ろしかったのです。

古代akiharu国には、人を治める巫女神と、猫を治める猫王がいました。
彼らは、カマキリとも殺しあう以外の道があると信じていました。
ですが、人々の恐れは強く、彼らの言葉を聞き入れようとはしませんでした。

巫女神と猫王は決心をすると、
人々に一月の間待つようにと言い残し、旅に出ました。

星を頼りに今では失われた古代のリンクゲートを渡り、
死者の国である幻の大地から、ある秘宝を持ち帰りました。

巫女神と猫王がその秘宝を使うと、
厳しい冬の風が、少しだけ優しくなりました。
弱かった太陽の光が少しだけ暖かくなりました。

風と光は、頑なだった人々の心を溶かし、落ち着かせました。
それは、人々にほんの少しの優しさと賢さを思い出させる、
ただそれだけの魔法の道具でした。

人々は巫女神と猫王の言葉を聞き入れ、
新しく生まれてくるカマキリたちとは、もっと楽しい道を探せるのではないかと考えました。
そして、ただ楽観的になるのではなく、カマキリと争わないためにはどうすればよいか、
なぜカマキリと争うことになってしまったのか、考えました。

そして春、カマキリたちが生まれ、人間や猫たちと二度目の出会いをしました。

この後は石盤には書かれていませんが、
人間と猫とカマキリが仲良く並ぶ姿が石盤には描かれていました。

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物語としては余談ですが、伝説の中で使われた魔法の道具である寛容の秘宝は、
古代akiharu国が何らかの理由で滅んだ後(俗説では、カマキリの暴走とも竜の怒りとも考えられています)、
滅びを見届けた猫王によって封印されたと、猫にしか読めないひっかき傷で、封印場所とともに記されていました。