右図はシーキャットのシート配置図。前方にパイロット席、後方にコパイロット席が並んで置かれている。
9m級に3人詰め込んでいるため、居住性は決して良いとは言えない状況であるが、
古参パイロットは「なあに、アメショーやペルシャに3人乗るよりはマシさ」とコメントしている。
シーキャットのコックピットは、微小重力でも操縦しやすいように設計されている。
微小重力下では、血液やリンパ液など体液が上に移動する。
そのため、重心は体の上の方に移る。
結果、足が細くなり、胸や顔が膨らむ。
コックピットの設計には、こういった体型の変化を考慮する必要がある。
また、重力下では重さがあるため、腕を下にぶらさげる形になる。
微小重力では、腕が下に引かれないため、肩が上がり、肘を曲げた形になる。
その結果、手が胸の高さまで上がることになる。
頭は重い脳があるため、重力下では首をまっすぐに保った方が支えやすい。
しかし、微小重力下では重さを支える必要がないため、首を下に傾けた形になる。
そのため、視線も下向きになる。
つまり、レバーやスイッチは地上よりやや上に、ディスプレイなどの表示装置は少し下に配置したほうがよい。
重力によって物が固定されている地上とは違い、無重力空間では無重力ならではの問題が発生する。
ねじを回そうとすると体のほうが回転し、スイッチを押そうとしても跳ね返されるといったことが起こるのだ。
そのため、操作の際、シートベルトなどで体を固定し、反力、反モーメントを取れるようにしている。
以上のように、シーキャットのコックピットは人間工学を考慮して設計されている。
なお、シーキャットのシートにはサバイバルキットがあるが、この中にはなぜか非常食に混じって砂糖水が置かれている。
砂糖水は、士季号にも搭載されている、akiharu国伝統の文化である。
……というと聞こえはいいが、困窮した藩王が「それでも甘い物は食べたい!」という欲求の果てに砂糖水をすすっていたという逸話を元にした伝統ギャグである。
しかしまあ、糖分を体に供給するのは脳を活性化させることにつながるため、なんだかんだで採用されてしまっている。