さて、主推進器であるが、シーキャットの場合は両脚に搭載されている。
ターキッシュバン2からシーキャットへの改修を行うに従い、
ホバー歩行が必要なくなった膝から下は再設計が行われている。
しかし、燃料や電力の供給ライン配置や、搭載スペースを考えると
やはり従来のシリーズと同じくエンジンは脚部に搭載するのが最適である、と結論付けられ、
内部構造に大きな変更は加えられていない。
もちろん、ターキッシュバンシリーズの脚は元々ホバー機であるが故に大きい。
つまり、本来の機体サイズよりも1ランク上のサイズのエンジンを搭載できるのである。
それに加え、両脚に搭載するわけであるから当然ながら双発である。
結果として、シーキャットの機動性はかなりのじゃじゃ馬になることはこの時点で運命付けられたのである。
シーキャットの推進器はメインエンジンだけではない。
全身に装備されたベクタード・スラスターもさることながら、サブエンジンそのものを動かす機構を搭載している。
目立つところでは、両肩にアーマーと共に増設されたスラスターユニットがある。
この両肩ユニットは腕の動きと独立して可動させることができ、それにより噴射方向を変えることが出来るのだ。
更に、背面にはその愛称の由来となった一対のウィングスラスターユニットが備えられている。
下図は腕部及び両肩ユニットを外した状態である。
見てわかるように、翼のように延びたユニット先端にはスラスターが配置されており、また基部にも左右方向への推進器が配置されている。
士季号のテールスタビライザーユニットから発想を得たとも言われるこのユニットはフレキシブルに可動し、
柔軟な機動性を機体に与えるのだ。
このように、シーキャットは「宇宙戦用人型機」であるが故に推進器そのものを可動させる構造を取ることが出来る。
これが宇宙におけるI=Dの強みなのだ。