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医療2

医療2 作:阪明日見

暗闇の中でポッと明かりが灯った。急な光に一瞬目が眩むが、次第に横たわった人の姿が浮かび上がる…!傍目から見ていたら少しぎょっとする光景かも知れなかったが、そこにいる者たちはそんなことに気付かずに、淡々と作業を始めた。 今、まさに医師の綸子と東西天狐が倒れた仲間の治療をしようとしているところであった。

「天狐さん、ちゃんと補定しておりて下さいね。…ちょっと痛いはずですから…」

「了解、しっかり押さえておきますよ!ああ、皆さんはこの間に体をちゃんと休めておいて下さい」

涼しいはずの洞窟内だが、極度の緊張状態のためか汗が吹き出る。汗が目に入って視界が歪み、綸子は目を細める。天狐はそれに気付いて、ハンカチで汗を拭った。

akiharu国の医師は優秀だ.今は学生の身だが、元々医師として活躍していた上に戦場での経験も豊富である。風紀委員でもある彼らは、普段は泥棒猫であったりドラッガーであったり略奪系であったりソックスハンターであったりする他の国民に厳しく接する。しかし、一旦医師として患者を助けようとする顔になってしまえば、全国民に大して菩薩のような慈悲の心と、戦士のような不屈の心をもって治療にあたるのだ。

「よし、処置は終りました。あとは回復するのを待つだけ…」

「いざとなったら、俺が背負っていきます」

「お願いしますね」

あとは回復の時間だ。明かりを絞り、深い闇に身も心も委ねながら、ただただ仲間が元気に回復するのを祈るだけである…。