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戦争準備状況その2

akiharu国の戦争準備状況 その2

作:鴨瀬高次&清白

 宴会の最中、隣国フィーブル藩国に敵襲があったと知らせが入った。
 akiharu国は国全体をあげて戦争準備に取りかかっていた。
 そんな折、鴨瀬は藩王から緊急招集を受けたのです。
 
 謁見の間に着くと、同じく文士の444氏、清白氏が呼び出されていた。
 秋春「とりあえず文士集めてみましたヒャッホウ!」
 藩王の目はすでにぐるぐるしていた。
 秋春「戦争に出るお金がありません。なので君達稼いで来なさい。」
 そう、先日、藩王以下3名は一名欠員のまま、失われた恋人を探しに出た。
 そして恋人ではなく燃料を見つけてきたのである。
 お陰で戦争に出る燃料には困らないが、
 逆にお金に困ってしまったのである。
 秋春「物語背景を見た感じ、これを乗り切ると次あたりメカデザインできそうなんで、なんとしても乗り切りたい。」
 秋春「ということで、今日は連絡だけです。何故なら僕の課題がまだ半分しか終わってないからデスヒャッホウ」
 
 秋春藩王はそそくさと退出された。
 
 後に残された文士三人は頭を悩ませた。
 鴨瀬「お金…?」
 清白「どうやって稼ぎましょう?」
 444「稼ぐといったらアルバイトです。」
 444氏は重々しく言った。
 444「と言う訳でまずは手始め。ファストフード店でバイト!」
 
 と言う訳でakiharu国唯一のファストフード店ドクドクにてアルバイトである。
 
 444「ご一緒にポテトは如何ですか?」
 お客「いらない」
 鴨瀬「スマイルですね、にっこり」
 お客「気合が入ってない!もう一回!」
 鴨瀬「にっこり」
 お客「奉仕の心が足りない!もう一回!」
 鴨瀬「にっこり(泣きそうなりながら)」
 お客「そう、その表情だ!もっと見せるんだ!」
 清白「なんで僕たちは戦争前なのに、スマイルを0円で売ってるんだろう……」
 
 結局、開店6時から閉店23時まで働かされた三人であった。
 閉店後。店からごまかしたポテトをつまみながら三人は公園で話し合った。
 
 清白「三人で17時間働いて4万にゃんにゃん…」
 444「戦争に出るには3億にゃんにゃん必要…」
 鴨瀬「稼ぐまで軽く20年かかりますね」
 意気消沈して座り込む3人。
 がばっと立ち上がる鴨瀬。
 鴨瀬「この作戦は駄目です!明日は作戦を変えます!」
 444&清白「おおう!」
 444「考えがあるのか!」
 清白「して、その作戦は?」
 鴨瀬「それは秘密です。しかし、場合によっては五億にゃんにゃんを超える金額をも手に入れられる、伝家の宝刀です!」
 
 その日は解散となった。
 翌日。
 
 そこには村唯一のメインストリートに並ぶ文士3人がいた。
 鴨瀬「戦争に行くお金の無い、哀れな小国に募金をー」
 
 しかし、閑散としたメインストリートには1時間、2時間経っても人っ子一人通らない。
 
 清白「僕たちは今、何をしているんだろう」
 444「戦争経費のための募金活動」
 鴨瀬「おやつは300にゃんにゃんまで。バナナはおやつに含みません!
 財政は切り詰めるだけ切り詰められているのですー!」 
 
 流石に哀れになったのか、物陰で見ていた猫が箱に何かを入れてくれた。
 
 444「猫が小判を入れてくれたよ!」
 清白「ありがとうございます!」
 鴨瀬「このご恩は一生忘れません!」
 
 結局日が昇って日が暮れるまでやって得られたのは小判一枚でした。
 
 444「結局これだけか…」
 鴨瀬「どうしよう…」
 清白「…とりあえず藩王様にありのままを報告しましょう。」
 
 翌日 謁見の間
 
 文士三人はうなだれて藩王に謁見した。
 
 444「申し訳ない」
 清白「我ら三人死力を尽くせども」
 鴨瀬「これだけしか…」
 
 差し出されたのは4万にゃんにゃん+猫小判一枚である。
 
 ぽかーんとした秋春藩王。
 
 秋春「ええっと、あれ?文士三人で特産物を書いて欲しかったんだけど…?」
 
 文士三人揃って、ポンと手を打つ。
 
 444「おお…!」
 清白「そうだったのですか!」
 鴨瀬「それなら3億かせげますなー!」
 
 藩王はアホ面をそろえる文士三人をしばし呆然と見ていたが、そのうち、ふるふると肩が震えてきた…。
 
 秋春「…何の為に文士3人を集めたと思ってるんだっ!もーやだ!!!!」
 藩王は懐から緑色のきのこを取り出すともぐもぐと食べ始めた。
 秋春「はははっ…!潰してやる!敵と一緒に藩国ごと潰してやる!でもとりあえずお前らからだ!」
 
 藩王の目がぐるぐるし始める!
 
 444「ご乱心ご乱心!」
 清白「藩王様が暴れだしたぞ!」
 鴨瀬「特殊部隊投入!藩王様をとりおさえ・・・ぎゃーっ!」
 
 王猫ふしゃ・ふしゃーるは(折角小判一枚入れてあげたのに)と
 思いながら、つまらなそうににゃーと鳴いた。
 
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  涼原秋春は頭を抱えていた。何せお金が足りない。
  何かの役に立つだろうと、文士3人に金集めを命じてみたが、集まったのが4万にゃんにゃんと小判一枚という体たらく。
  もう奴らの顔を見るのも嫌だったが、昨夜散々いぢめてあげたから今度こそはしっかり働くやも。
  思いついたら即行動が信条の藩王。早速早朝に、文士3人組を呼び出した。
 
 「……今度失敗したら、どうなるかわかっているだろうね、ふふふふふ」
  不気味な笑みを浮かべながら、藩王涼原秋春は3人に告げる。
  最近の藩王は、薬をやっているからああなのか、それとも素であんな風になってしまったのか、判断に苦しむときがある。
  444、鴨瀬高次、清白の3人は、それぞれの顔に恐怖の色を浮かべながら退出し、すぐさま真剣に話し合うことにした。
 
 「さて、どうしようか……」
  3人集まれば文殊の知恵というが、中々いいアイデアが出てこない。
  そもそも、暇さえあれば日向でごろごろしている彼らに、そんな短期間でお金が手に入る方法を思いつけるはずがなかった。
 「どうでしょう、それぞれの得意分野をいかしてみるというのは」
  清白が控えめながらに提案する。ほほうと、力強く頷く2人。さっそく444が切り出す。
 「私は猫が好きですよ。それに、最近の藩王の壊れっぷりには大変満足しています」
  なるほどー、と2人。だが、それ以後が続かない。次に、鴨瀬高次が口を開いた。
 「僕は、なんといってもアイロンですねっ! しわくちゃになった服なんかをこの手でパリっと延ばしていくのには興奮を禁じえませんっ!!」
  おおーっと、少し引いたような反応。では、アイロンを使ったアルバイトでも探してはどうだろう、と444が提案したが、
 結局前回と同じ、たいした金にはならないということで却下された。
 「じゃあ、最後は僕になるけど、うーん。……妄想するのは、好きだね」
  ……結局、何もできないことがわかった3人は、他の国民の手を借りることにした。
  そうさ、何も僕たちだけで無理難題を背負い込む必要なんてないんだ。我が藩国にはまだ沢山国民がいる。あいつらに頼ればいいじゃないか……!!
 
  数時間後、綸子が会議に参加した。
 「そうですねぇ。せっかくだから、この国の独自の文化ってことで、ファッションショーを開催してみるってのはどうでしょう? 
 結構人気あるらしいですよ。私たちの藩国の服装。  
 ついでに、内容レポートなんかも書いちゃえば、副収入でうはうは。少しは財政の足しになるんじゃないかなーって」
  3人は絶句した。参加してから数分後にこんなすばらしいアイデアをだすなんて、この女は化け物か。
 内心の動揺を隠しながら、冷静に対応する。
 「……ほ、ほう。それは中々いいアイデアかもしれないね。どうだろう、私は良いんじゃないかと思うが、他の2人はどうかな」
  444が2人に問いかけると、鴨瀬高次と清白も賛成する。
 「ぼ、僕もそれなりにいいんじゃないかなーって思いますよ」
 「いやー、ははは。まぁ、それなりには……それなりには、ね」
 「う、うむ、みなも賛成しているようだし、早速準備に取り掛かってみたらどうだろう?」
 「はい、じゃあ頑張ってみます!」
  嬉々として仕事に掛かる、綸子の後ろ姿を、敗北感に肩を落としながら眺める3人。
 「……まぁ、なんとかお金の工面ができたってことで、喜んだ方がいいんじゃないですかねぇ」
  清白のつぶやきに、鴨瀬高次の顔も少し明るくなってきたが、444がその言葉にするどく反応した。
 「……ククク、忘れたのか、藩王のお言葉を。彼は私たち3人にお金を集めて来いといったのさ。
 綸子さんが名産品で儲けたからといって、我々が安心することは出来ないのだよ!」
 「ああ、そうだった!!」
 
  3人は再び意気消沈。普段なら余り藩王を恐れていない国民が多いのだが、最近は事情が違った。
  薬のやりすぎか、藩王の目は常にぐるぐる。時折狂気じみた笑みを浮かべながら、信じられない行動にでる。
  今の藩王なら、自分たちは何をされるかわかったもんじゃない。
 「えーと、こんにちは。何か手伝うことはありますかー?」
 「出来ることなら何でもやりますよっ!」
  続いて現れた阪明日見と橘に、彼らは救世主を発見したかのような勢いで問いかける。
 「何か、アイデアをっ! すぐにお金ががっぽがっぽたまるような、素晴らし〜いアイデアをっ!!」
 
  日が暮れる頃。3人の周りの空気は絶望で満たされていた。
  阪明日見と橘の2人も色々とアイデアを出してくれたが、結局数億にゃんにゃんを稼げるというところまで煮詰めることはできなかったのだ。
  今では、阪明日見はぽーっと鳥たちを眺め、橘は何やら得体の知れないものを紙に書きなぐっている。
 そんな2人を尻目に、文士3人組みは、深刻な表情で顔を突き合わしていた。
 
 「……いっそのこと、逃亡しちゃいましょうか?」
 
  何気なくいったその清白の言葉が、彼らの運命を決定付けた。
 「それだっ! 何も自ら死地に赴くことなんかないんです。幸いこの近くには、2つの藩国がある。そこまで逃亡してしまえば、流石の藩王も手が出せないはずっ!」
 「私は藩王には期待しているのですが……まぁ、何にせよ自分の命には代えられない。賛成ですよ、その案に」
 
  こうして、3人の脱出行が始まった。
 
 
 「……報告申し上げます。どうやら、我が藩の文士、444、鴨瀬高次、清白の3人が、この国から逃亡を図っている様子」
  報告を受けて、藩王はがばと起き上がる。
 「あーっはっはっは。コイツは面白い。逃亡だなんて、想像もしなかったよ!」
  ケラケラ高笑いの藩王。びしっと、ポーズを決めて、命令を出す。
 「RB部隊、出撃用意! 3人とも捕まえて、僕の前に引っ張り出してきてね」
  次々と出撃するRB。超感覚を駆使して、すぐさまターゲットを補足。夜のジャングルに悲鳴が木霊した。
 
  ……その後、文士3人組がどのような仕打ちを受けたかは、誰も知らない。