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偵察2

偵察2 作;東西天狐 画:忌闇装介

超薬戦獣。それはかつて魔術師の名を冠した者たちが人外の領域へと踏み出した姿。ドラッグにより強化された獣のごとき超感覚は明かりが乏しい洞窟の中でもその威力を衰えさせてはいなかった。視覚は暗順応により少ない光量を最大限に増幅、聴覚は気を配って音を聞き分け、嗅覚は異臭を探知、触覚は空気のざわめきを、そして味覚はアドレナリンが分泌していることを教えている。

「やーれやれ、何で僕はこんなところに居るんだろうねえ」

ちなみにakiharu国における彼らの役割はI=Dパイロットである。体格がいい割には白兵戦が出来ないのでもっぱら遠距離戦が主体。そういう事情で彼は感覚を見込まれて偵察任務を仰せつかったわけだ。

「こういうめんどくさいのは僕の趣味に合わないんだけどなぁ」

とは言えそうも言っていられないのが現状。やる気のない表情で生真面目にに感覚を絞る。過去のイベントで偵察に失敗したケースでは大概大変なことになっている。最初がこけると後も皆躓くのだ。その時、やや前方に何かが動いた気配。後続のメンバーに無音で合図。

「さてさて・・・どうやらお仕事かな。こっちに気付かないでよ」

独り言と共に意識を集中していく。ああやだやだ、さっさとマジックアイテムを見つけて帰りたいなぁ。足音を忍ばせてそろそろとそこへ近づいていく。さあ、何が出るかな何が出るかなモンスターやらマジックアイテムやら。それとも・・・それ以外の面白いものかな?偵察者の特権。それは誰よりも早くソレを見られること。なんのかんの言いながら結構楽しんでいたりするのだった。