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偵察3

偵察3 作:444

「まったく、僕は猫士じゃないから夜目なんて利かないのになあ」

洞窟の中は暗い。敵からの発見を恐れて、愛用である煙草の火一つもつけられない。口の中が寂しくなってきた。

しかし、そういいながらも、洞窟の段差もとがった岩も、危険なものはひょいひょいと避けて進んだ。音の反射、風の動き、匂いの変化、空気の味、それらが全てを教えてくれる。聴覚・触覚・嗅覚・味覚、暗闇によって視覚一つ塞がれたところで、清白には五感のうち四つの感覚が残されている。ドラッグで磨かれた第六感を加えれば五つの感覚を活用可能であり、常人の平常時と変わりがない。これが超薬戦獣の領域までドラッグを極めた者の超感覚である。

「単独偵察はいいんだけど、敵が出たら逃げるよ。僕戦えないし」

超薬戦獣である清白には、溢れんばかりの筋力があるが、あいにくとそれを活かせるだけの格闘技術がない。略奪系考古学者や風紀委員といった、他のみんなのサポートとしては攻撃可能だが、一人ではどうしようもないのだ。みんなか、そういえば、広島にいったみんなはどうしてるのだろうか。広島といえばもみじまんじゅうに牡蠣だ。美味しいもの食べてるんだろうか。そういえばお腹減ったなあ。非常食のツナ缶は我慢できずに食べちゃったし。どこかに食べ物ないだろうか。

清白の意識がさまよい出した。明かり一つない洞窟の中で一人きり、通常なら意識がもうろうとなってもおかしくなく、危険信号であるが、清白は超薬戦獣である。ここからが本番だ。肉体からさまよい出た意識は、体から先行して洞窟の偵察を開始した。食べ物を求めてすみずみまで捜すのだ。ついでで危険も捜してしまうのが恐ろしいところだ。