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白兵

白兵×3 

作;東西天狐 画:和志

某国特殊部隊の白兵戦装備にスコップがある。塹壕での遭遇戦でもスコップの戦闘力は実証されておりその有用性は高い。土を掘る本来の用途以外にも武器としての使用が可能なのだ。意外に攻撃手段は多く、殴る以外にも斬り突き、でも十分な威力がある。そしてakiharu国には「グレイトフルスコップ」と呼ばれるほどのスコップ野郎がいた。彼はあいにくと広島遠征中のため今回のクエストに参加していないが、彼の指導により略奪系考古学者たちのスコップスキルはちょっとしたものとなっていた。

「スコップ・・・スコップ・・・ああ、なんて君は美しいんだろう」リバーウィンドは恍惚とした表情で何度も何度も振り下ろす。そのたびに何かが砕ける音が響いている。

「やわらかく手に吸い付くグリップ、冷たく硬いエッジ・・・ああ、もうたまらないよ」鴨瀬高次は熱い視線を向けながら何度も何度も突き立てる。そのたびに何かが壊れる音が響いている。

ただでさえ地下空間の戦闘を得意とする彼らがスコップを手にする。それは現れた敵の運命を決定してしまった。それは戦闘とは呼べないただただ一方的な破壊。

そうして足元のそれが動かなくなって暫くしてから、ようやく二人は手を止めた。上気した頬は赤く染まり、額には汗が光っている。

「・・・あの、鴨瀬さん」「・・・なんです?」「・・・僕、もう嫌です。なんでスコップ使うのにこんな変態みたいなこと言わないといけないんですか?あのヒト絶対僕達をからかってますよ」「いや、でも実際のところ何故か強くなってるし、もう少しだけ頑張ろう?」

後ろのほうで他のパーティーメンバーが怖々とこちらの様子を窺っているのを見てリバーウィンドは泣きたくなってきた。

「違う、僕は好きでこんなことをしてるんじゃないんです。これはスコップのために仕方なく」

と幾度となく説明したもののもう生暖かい視線しか返して貰えなくなっていた。

「・・・鴨瀬さんは平気なんですか?」「はっはっは、私もこれで色々とやってきたからね。もう慣れたよ」

少しだけ苦い笑みを返す鴨瀬。まぁこの国はこういうノリが好きなので諦めているのだ。今回はたまたま自分がこちら側にいるだけだ。

「さぁ、そろそろ先に進もう。マジックアイテムが僕らを待っている」「・・・はい」

何かを得るためには何かを捨てなければいけない。身をもって学んだ二人であった。

 作:阪明日見 画:和志

「いいマジックアイテムを期待してるよ」

「頑張ってお宝ゲットっす!」

そう王猫を抱いた藩王と広島から帰ってきたばかりの和志に、僅かな声援を送られてakiharu国を旅立った。皆、手を振り替えして、笑顔で健闘を約束した。

それは僅か数日前のことなのに…、ああ、何故か今の状況では遠い昔に思えてならない。

今は戦いの真っ最中なのだ。

「たかがスコップ、されどスコップ。この威力を思い知りなさい!」

略奪系考古学者の鴨瀬高次がノコギリ歯のついたスコップを敵に振り下ろす。がん、と鈍い音があたりにこだまして洞窟内に響きわたる。

「鴨瀬さん、これは、こう使うんですよ」

同じく略奪系考古学者のリバーウィンドは、ノコギリ歯を器用に敵に当て、思いっきり手前に引いた!敵の声にならない悲鳴が嫌でも伝わってくる。

「なるほど。では、これではどうですかっ!」

今度は鴨瀬がスコップの柄をバットのように持って敵に向かって思いっきり振りぬいた!その衝撃で吹っ飛ぶ敵!

この二人は、地下ダンジョンということもあってテンション2倍増しで善戦していた。まさに水を得た魚状態である。なんだか眼が怪しく光っている。

それを横目で阪明日見は剣を冷静に振るっていた。剣は剣でもそれは竹刀であったが…

「てぇい!!」

小さい体から繰り出される、若干短めな竹刀の一撃は、敵の急所を確実に貫く。

「甘く見ないで欲しいわね。日々これでも鍛錬しているのよ!」

戦闘中だが、国民性からかどうもシリアス展開にならない彼ら。だが、国に帰るためにその心は一つである!

 作:444

羅幻王国地下洞窟、この地下深くでも戦いが繰り広げられていた。

普通の歩兵では洞窟の暗闇の中で満足に身動きも取れず、跳弾を恐れて銃器も使えずに、なすすべもなく死を待つばかりであったろう。

しかし、akiharu国の歩兵は一味違う。闇を友とする猫妖精であり、地下の暗闇、狭さといった環境を武器とする略奪系考古学者なのだ。そしてかつては、夜を駆ける泥棒猫でもあった。もう足は洗ったが。

「さて、やりますか、リバーさん」「いきましょうか、鴨瀬さん」

akiharu国の2人の歩兵たちは、野生の獣のごとく襲い掛かった。

「法官として判決を下す。死刑!」

鴨瀬高次はソックスアイロンというソックスハンターとしてのの異名を持つ、akiharu国の法官である。大振りのスコップの一撃で敵をけん制し、ふところに潜り込んだ敵には扱いなれたアイロンで一撃を加える。赤熱したアイロンの一撃に、敵はたまらずに悲鳴を上げた。

「えー、護民官としてはその判決は不適当だと思いますよ。ここは半殺しで」

幼女のような見た目をしたakiharu国護民官、リバーウィンドは、鴨瀬の取りこぼした敵を確実に仕留めていった。小柄な体でのパワー不足を、スコップを体ごと振り回して遠心力をつけることでカバーしている。護民の精神はどこにいったんだろう。

「狭い場所だと、銃器より接近戦だな、やっぱり」「レムーリアは銃器が使えないらしいし、ウィップマスターになるのもいいかもしれないですね」「だな。それにしても、この洞窟にはいい靴下があればいいんだが……」「鴨瀬さん、鴨瀬さん、風紀委員の阪さんが聞いてますよ」「おおっと! ……それじゃあ残った敵を仕留めるとするか」「ええ」

akiharu国の法の象徴である2人は、法という名の暴力を武器に、戦いを再開した