新型機ターキッシュバンロールアウト直後、
akiharu国国民たちは、疲れ果てながらもその目はこれからの未来に向けて輝いていた。
「新型機ができたぞー!」
「おー!」
「20機もできたぞー!」
「おー!」
「よーし、その機体叩き売って金に……もとい、他国に供与するんだ! みんなのために!」
「藩王様、本音がだだ漏れてます!」
「ハハハ、何ヲ言ウンダ。僕ハ常ニ共和国全体ノ事ヲ考エテイル男ダヨ」
「藩王様の目がぐるぐるしている! 医療班ーー!」
しかし、整備命令で全てが変わってしまった。
「既存のアメショーと合わせて31機、こんなに整備できるわけないじゃないか!」
「うちの国には、整備士いないってのに!」
「最初から作らなければよかったんだ!こんなもの! こんなもの……!
どうせ壊してしまうんだったらっ!」
「藩王様、機体設計者の橘さんが、ドラッグをキメて暴れています!」
「はい、そんなときはもっとドラッグを注入してみましょう」
「きゅー……」
「ああっ、橘さんがおとなしくなった! さらに顔が紫まだらに!
さすが藩王様だ!」
「はっはっはっ、押しても駄目ならもっと押してみるんだ!」
清白さんもドラッグマジシャンとして覚えておくんだ!」
「はい!」
「……薬物は、用法と適量を守って使いましょう」
それはそれとして、藩王は悩んだ。
「機体整備は、成功すればでかいけど、失敗すればうちのI=Dが0になる。
I=D31機捨てるか、欲をかいて元も子もなくすか……」
「藩王様……」
「どっちがネタとしておいしいだろうか……」
「衛生兵ー、藩王様が目がぐるぐるしてるから、病院に運んでー」
「なにをするー! 僕はくるってないぞー、くるってなんかいないんだー」
国民も悩んだ(藩王はベッドに縛り付けられていた)。
「どうする?」
「せっかくの機体がもったいないから整備しましょう」
訂正。あんまり悩まなかった。
こうして、不可能への挑戦が始まった。
「設計者の橘さんに和志さん、頑張って!」
「整備なんて、そんな創作意欲の刺激されない行為……」
「設計はしたが、整備なんてできないぜ!」
「こいつら駄目だ!」
設計者は使えなかった。
「こうなったら、頭がよくって、手先が器用なうちの医者兼吏族たち。
君たちに任せた!」
「えーと、使う道具はメスに包帯でいいんでしたっけ?」
「おまじない、おまじない……」
「俺の筋肉とソックスに任せておけ!」
「こいつらも駄目だ!
「……というか、うちの吏族医師、人も国も同じ患者だって言ってたじゃないか
なら、I=Dも同じ患者ってことで、駄目かな」
「あんなのはったりよ!」
「はったりかよ!」
ぶっちゃけみんな使えなかった。
もう駄目かと思った(藩王談)。
「困っているようだな!」
「泥棒猫のみんな……。エントリーされてない君たちが、なんでここに?」
「水臭いこというなよ、国の危機、俺たちも力を貸そう!」
「みんな……」
三分経過。
「じゃ、飽きたから帰るね」
「みんな……!」
こうして、僕たちの機体整備は終わった。
あとにI=D31機の残骸を残して。
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