暗闇の中でポッと明かりが灯った。
急な光に一瞬目が眩むが、次第に横たわった人の姿が浮かび上がる…!
傍目から見ていたら少しぎょっとする光景かも知れなかったが、
そこにいる者たちはそんなことに気付かずに、淡々と作業を始めた。
今、まさに医師の綸子と東西天狐が倒れた仲間の治療をしようとしているところであった。
「天狐さん、ちゃんと補定しておりて下さいね。…ちょっと痛いはずですから…」
「了解、しっかり押さえておきますよ!ああ、皆さんはこの間に体をちゃんと休めておいて下さい」
涼しいはずの洞窟内だが、極度の緊張状態のためか汗が吹き出る。
汗が目に入って視界が歪み、綸子は目を細める。
天狐はそれに気付いて、ハンカチで汗を拭った。
akiharu国の医師は優秀だ.
今は学生の身だが、元々医師として活躍していた上に戦場での経験も豊富である。
風紀委員でもある彼らは、普段は泥棒猫であったりドラッガーであったり
略奪系であったりソックスハンターであったりする他の国民に厳しく接する。
しかし、一旦医師として患者を助けようとする顔になってしまえば、
全国民に大して菩薩のような慈悲の心と、戦士のような不屈の心をもって治療にあたるのだ。
「よし、処置は終りました。あとは回復するのを待つだけ…」
「いざとなったら、俺が背負っていきます」
「お願いしますね」
あとは回復の時間だ。
明かりを絞り、深い闇に身も心も委ねながら、ただただ仲間が元気に回復するのを祈るだけである…。
蘇生用に取っておいたのですが、その前に撤退したのでボツです。
「いいマジックアイテムを期待してるよ」
「頑張ってお宝ゲットっす!」
そう王猫を抱いた藩王と広島から帰ってきたばかりの和志に、僅かな声援を送られてakiharu国を旅立った。
皆、手を振り替えして、笑顔で健闘を約束した。
それは僅か数日前のことなのに…、
ああ、何故か今の状況では遠い昔に思えてならない。
今は戦いの真っ最中なのだ。
「たかがスコップ、されどスコップ。この威力を思い知りなさい!」
略奪系考古学者の鴨瀬高次がノコギリ歯のついたスコップを敵に振り下ろす。
がん、と鈍い音があたりにこだまして洞窟内に響きわたる。
「鴨瀬さん、これは、こう使うんですよ」
同じく略奪系考古学者のリバーウィンドは、ノコギリ歯を器用に敵に当て、思いっきり手前に引いた!
敵の声にならない悲鳴が嫌でも伝わってくる。
「なるほど。では、これではどうですかっ!」
今度は鴨瀬がスコップの柄をバットのように持って敵に向かって思いっきり振りぬいた!
その衝撃で吹っ飛ぶ敵!
この二人は、地下ダンジョンということもあってテンション2倍増しで善戦していた。
まさに水を得た魚状態である。なんだか眼が怪しく光っている。
それを横目で阪明日見は剣を冷静に振るっていた。
剣は剣でもそれは竹刀であったが…
「てぇい!!」
小さい体から繰り出される、若干短めな竹刀の一撃は、敵の急所を確実に貫く。
「甘く見ないで欲しいわね。日々これでも鍛錬しているのよ!」
戦闘中だが、国民性からかどうもシリアス展開にならない彼ら。
だが、国に帰るためにその心は一つである!
いざ戦おう、という瞬間にミノタウロスにやられたのでボツです。