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pot

akiharu国のプライド・オブ・ツン

作 田中申

 ソックスアイロンこと鴨瀬高次は忌闇装介、田中申とスリーマン・ワンセルで行動をともにしていた。
 忌闇は体のラインがでにくいドレスを着ており、また顔をベールで隠していたため、口を開かなければ女性に見えた。
 また、田中はもともと女の子のような外見なのに、綸子と阪がコーディネイトした萌え萌えの衣装を着ていたため、完全に女の子であった。
 その後ろから追ってくる鴨瀬は、バレンタインデーレインボーセットのままだった。
 さいわい、過激派博愛原理主義ではなくなっていたが、敵の服をパリッとさせながら、靴下を狩り、
 ジャイアントスイングで 窓からakiharu国の方へ投げ飛ばすそのさまは、味方からも恐れられ、誤射されることも多かった。
 ちなみに、この作戦での誤射で狙われた率ナンバーワンは鴨瀬だが、誤射被弾率ナンバーワンは巻き添えを食らった忌闇であった。
 
 鴨瀬はスチームアイロンの蒸気を煙幕にしながら、装甲靴下を盾に拳にと奮闘する。
 口には一年物の靴下をくわえ、ブーストしている。
 ソックスハンターにとって靴下とは、どんな薬の薬理作用よりも強力なプラシーボ効果を引き出すものである
 (うそじゃないよ、ホントだよ。だって、うちのばあちゃんが言ってた)。
 
 忌闇はうまくいきすぎる制圧に早くも飽き始めていたが、作戦が終わるとツナ缶が食べられることを思い出し、がんばることにした。
 
 田中申は二人のあとを追いながら、敵に向かってトリガーを引いた。
 しかし、弾丸は発射されない。
 銃口をのぞき込む田中(よい子は絶対まねしてはいけません)。
 安全装置やマガジンにまで考えがおよんでいないようである。
 前方に出すぎて敵の目の前まで来てしまったので、田中は仕方なく銃身をにぎり、おもいっきり殴った。
 
 「アサルトカービンで人を叩くのは、ダメ!」
 
 先に潜入していた偵察部隊から暴発の危険性を指摘される(言うまでもないが、アサルトカービンでも、サブマシンガンでも、銃を乱暴に使ってはいけません)。
 しかし、田中はぜんぜん聞いていない。
 田中申は人の話を聞いているときは馬鹿みたいに信じることもある男だったが、聞いてないときはしゃべりかけていることすら気づかないという人間だった。
 
 使い物にならないと判断した田中はスリングをつかみ、勢いよく銃を投げた。
 ある意味、本当のガンスリンガーである(スリングがただの帯でなく、投弾帯であれば、なお完璧である)。
 
 そのまま田中は走り抜けた。
 彼は作戦をあまり理解していなかったらしく、たけきのこ藩王がいる地下に行くことしか考えていなかった。
 地下に行ってどうするかはそれから誰かに聞くつもりだった。

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