発掘兵器クエスカイゼスとは、I=Dの原型となった機体である。
電網適応アイドレスにおける、帝国の初期I=Dであるトモエリバーは、
このクエスカイゼスの特徴を色濃く受け継いでいる。
逆に言うと、クエスカイゼスはトモエリバーによく似た
(正確にはトモエリバーが似ているわけだが)高性能機であり、
オリジナルトモエリバーとも呼べる機体である。
クエスカイゼスの外観は、トモエリバーと似たシルエットをしているが、
大きな違いとしては、飛行を重力制御で行うため、ジャンプロケットを背負っていないこと、
関節に人騎兵と同様の球体関節を使用していることである。
ジャンプロケットがないことは生存性の向上につながり、
球体関節は衝撃の吸収による関節耐久力の向上と、
稼働域の広さにつながっている。
武装面では、トモエリバーが100mmランスを持つ遠近両用の機体であったのに比べ、
クエスカイゼスは、遠距離戦用武装を持たない白兵特化機であり、
重力制御を利用して超高速の突撃を行い、力任せに全てをねじ伏せる暴君である。
地形適応:空中/陸上/宇宙/全世界
クエスカイゼスは、
アートポストやフェイクトモエのような本格的な航空機には及ばないが、
トモエリバーやケントの例に漏れず、帝国の代表的なI=Dとして
重力制御による飛行が可能である。
また、I=Dとして、当然陸上戦も可能であり、
重力制御によって、宇宙でも機動可能となっている。
さらには、クエスカイゼスは現在の世界の技術を超えたTLOであり、
物理域に影響されず、全世界での動作が可能となっている。
クエスカイゼスの最大の特徴が、重力制御である。
重力制御は攻撃や防御に応用できる他、飛行を始めとした移動にも応用できる
万能の技術である。
攻撃においては、重力制御を使った高速突撃が可能であり、
通常では不可能な直角に近い急旋回を使った高速戦闘も可能となる。
また、足を止めた状態での白兵戦においても、
重力を乗せた重い一撃を放つことが可能となる。
ただし、重力制御による高機動戦闘は、当然ながら、パイロットに激しい負担がかかる。
このため、パイロットは高い能力を持つ騎士に限定された。
また、トモエリバーの欠点の一つとしては、ジャンプロケットの燃料への被弾による
生存性の低さが挙げられるが、
クエスカイゼスは重力制御を使って飛行するため、
トモエリバーの多目的ジャンプロケットは存在しない。
このため、ジャンプロケットに必要であった液体燃料に引火する心配もなくなっており、
機体の生存性が大きく向上している。
トモエリバーの、ジャンプロケットの存在による生存性の低さ以外の欠点としては、
まさに紙と呼ばれる装甲の薄さがある。
これは、重力制御技術のないトモエリバーにおいて、
ジャンプロケットによる飛行と高機動性のために
装甲を軽量化しなければならなかったためである。
飛行に重力制御を用いるクエスカイゼスは、装甲を無理に軽量化する必要もなく、
白兵戦用の強固な装甲を持っている。
また、防御における最大の特徴として、重力制御を防御に応用した
防御フィールドを展開可能である。
機体の全周囲にフィールドを展開することも可能であるが、
エネルギー消費が激しいため、通常は攻撃の命中点にピンポイントに展開する。
緊急時には、フィールドを攻撃に応用し、
密着した敵を吹き飛ばすことも可能である。
剣(ウェポンブレイカー)
大盾
機関銃/マジックミサイルランチャー
対要塞戦用ドリルランス
斬れ味よりも、重力加速に耐えられる頑丈さを重視した長大な実体剣である。
重力制御によって、通常は重さを0に近づけて振るい、
インパクトの瞬間に重さを増加させることで、
速さと重さを併せ持った一撃で、相手を斬るのではなく、破壊する。
あるいは、あえて重さを増した状態で振りまわすことで、遠心力を利用し、
圧倒的な重さを持つ一撃によって、敵を防御ごと粉砕するように造られている。
重さに任せて斬り合うだけで、敵の武器や盾を破壊することができるため、
ウェポンブレイカーとも呼ばれる。
なお、最大の破壊力を発揮するのは、重力制御によって加速した、勢いを乗せた突撃である。
手持ちの大盾である。
盾に必要なのは、攻撃を防ぐ頑丈さと、攻撃を受け止める重さである。
だが、重さは同時に扱いにくさにつながる。
この盾は、通常でも頑丈さと、頑丈さを追及したことによる重さを持っているが、
重力制御によって重さを自由に制御することができる。
普段は軽くした盾を軽々と持ち運び、いざ攻撃を受け止めるときは、
さらに重量を重くすることが可能である。
また、いざというときは重さに任せて敵を殴打するためにも使える。
盾は、ただ頑丈なだけではなく、
高物理域でのレーザーや、低物理域での魔力炎など、高熱への耐性が強い素材で作られている。
「竜の炎を想定して鍛え上げてあります。大気圏突入したって耐え抜いて見せますよ」とは、
整備員の言葉である。
4連装12.7mm機関銃/マジックミサイルランチャーは、
近距離用の武器であり、歩兵などの剣ではとらえにくい小型の敵を対象としており、
戦場の物理域に応じて機関銃とマジックミサイルランチャーを使い分けた。
白兵戦用の剣と比べると、あくまでおまけ程度の装備であり、
普段は脇腹に収納されている。
特筆すべき点は特にない。
クェスの方がサイズが大きいため、トモエのものより口径が大きくなっている。
また、火力向上は、最近の歩兵のWDをはじめとした戦力向上から、
7.62mmでは火力が足りないのでは、という懸念からでもあった。
速射性の高い小型魔力弾を射出する。
射程は短く、誘導性は高くないが、着弾すると炸裂するために、歩兵相手には有効な武器となった。
パイロットとして理力使いを想定していないため、
マジックミサイルランチャーの弾は自力で生成ができず、使い捨てとなっている。
そのため、弾数が少なくなっているが、あくまで補助武器と割り切られた。
異論はあるだろうが、トモエリバーの象徴といえば、長大な100mm砲(ランス)である。
射撃武器ではないが、クエスカイゼスも象徴的な武装として槍を持つ。
突撃の勢いと、重力制御を槍の先端にのみ集中した一撃によって、全てを貫く突撃槍であり、
クエスカイゼス最大の武器である。
突撃時は、衝撃に耐えるため、間接をロックすることが必要になるが、
このため、攻撃を回避された場合は、迅速な反撃が不可能になっており、
突撃槍を使うときは、相手に回避されようがない場合に限定された。
また、その破壊力から要塞戦にも使われた。
オリジナルのクェスカイゼスをベースに、
宰相が娘のために手づから改造したのが、この今日子専用機である。
生身でも今日子は強力な戦闘能力を持っているが、それでもやはり生身である。
I=Dに比べれば、劣る点も存在する。
この機体には、危険な戦場からでも無事戻ってくるようにとの、宰相の親心が込められている。
今日子専用機は、外見的には、色がサイケデリックになっている程度だが、
機体内部には大きく手が加わっている。
操縦システムは、通常のI=D操縦システムではなく、
思考をトレースして動くシステムになっている。
これは、通常の操縦システムでは
今日子の持つ反応速度とパワーを生かせないことと、
何より今日子がパイロットとしての操縦技術を持っていないからである。
剣が通常のクェスカイゼスとは違い、より切れ味を重視した軽い剣となっている。
これは、ACEの中でも有数の戦闘能力を持つ今日子が、そのパワーをそのまま力任せに振るえば、
発掘兵器といえども機体と剣が持たないからである。
重力制御による機動をより精密かつ変則的に使い、
変幻自在の機動で力ではなく、技で敵を倒すようになっている。
今日子のために手が加えられたこの機体であるが、
今日子の能力をフルに発揮できているとは言い切れない。
宰相は普通、娘のためには1から専用機を設計することを考えると、
この機体は今日子の真の専用機開発までの間に合わせなのかもしれない。
皇帝軍に配備されてるかはわかりませんが、一応皇帝軍カラーの黒も用意