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kaisin

頬をひっぱったら改心する(絶技)

真偽不明の解説

 「頬を引っ張って改心させる」
 粉箕弧満怒…
 古代akiharu国で発祥したとされる拳法。
 古代akiharu国人は争いごとを好まず他国人とも友好的であったが、
 悪辣な侵略者 世布纏酉怨 としばしば衝突を繰り返し  ており、
 その中で不殺を貫きながら悪党を改心させるという困難な信念を持って闘う彼らから
 この拳法が編み出されるのは当然の成り行きであった。
 その極意は相手の頬に両手を添え、瞳をじっと覗き込みながら
 ↑↑↓↓←→←→ABと頬を引っ張ることで相手のよきこころを 呼び覚まして改心させるものであった。
  この口伝の元となっているおとぎ話が存在する。
 ”巫女神様は猫王様と協力して竜の怒りを沈め”(藩国設定)とあるが
 この際、竜の頬を↑↑↓↓←→←→ABと引っ張ったのが始まりとまことしやかに伝えられているのである。
 
 現在この拳法は喪われてしまい、わずかな書物にてその存在が語られるのみであるが、
 今日悪いことをした子供や女性を悲しませた男が頬を引っ張られるのがこの名残であることは周知の事実である。

 私の息子は放蕩で、いつ身代を潰すかハラハラしていました。
 藩王様から絶技を教えていただけると聞いても、ちょっと不安な面もあって手が出せませんでした。
 でもタダと聞いて「ちょっとでもマシになれば」と半信半疑で試してみたんですけど、予想以上の効果に驚きました。
 今ではもう立派な超薬戦獣。
 カマキリ剣士試験初段を目指してがんばっています。
 (国民からの絶賛の声)
 akiharu怪奇書房刊 「今日に残る頬を引っ張って改心させるの極意」より 

みこにゃーさまのおはなし

 むかしむかし この国には 巫女神様という えらいえらい人がいました
 でも みんなは 「巫女神様」 だと呼びにくいので 「みこにゃーさま」と呼んでいました
 
 みこにゃーさまのお仕事は みんなが 仲良く楽しく暮らせるようにすることでした
 東でケンカをする人がいたら 駆けつけて ほっぺたを引っ張ってあげます
 西で泣いている人がいたら 駆けつけて 頭を撫でてあげます
 南で怒っている人がいたら 駆けつけて お話を聞いてあげます
 北でお祭りをしている人がいたら 駆けつけて お祝いをしてあげます
 
 みこにゃーさまは 猫をはじめ みんなの人気者でした
 
 でも そんなみこにゃーさまを よくないと思う人もいました
 それは 森に一人で住んでいる もう一人の巫女神様でした
 森の巫女神様は いじわるなことで有名で 猿や 狐と仲がよく
 みんなでみこにゃーさまにいじわるをしていました
 
 あるとき みこにゃーさまが一人で出かけることを知った 森の巫女神様は
 乱暴者の竜に みこにゃーさまが悪口を言っている と嘘を教えました
 竜は これを聞くとすっかり嘘を信じて 体を真っ赤にして みこにゃーさまの所に飛んでいきました
 みこにゃーさまは とても怒っている竜に 一生懸命 お話をしましたが 竜は聞いてくれません
 今にも大きな口で噛み付きそうな竜に みこにゃーさまは すっかり困ってしまいました
 
 そのとき 一匹の大きな猫が みこにゃーさまと竜の間に 現れました
 それは みこにゃーさまと 仲のよい 猫神様でした
 猫神様は 鼬の王様から 話を聞いて慌てて飛んで来たのです
 竜が 大きな口を開けると そこにお酒を投げ込み みこにゃーさまを引っ張って走り出します
 竜は お酒が大好きなので お酒を飲むのに夢中になってしまいました
 猫神様は みこにゃーさまを乗せて 毛を逆立てないようにしながら 森の巫女神様の家に向かいました
 後ろからは おおぜいのみこにゃーさまの友達もついてきます
 
 その頃 森の巫女神様は おうちでお茶を飲みながら 巫女神はどうなってるかしら と考えていました
 さすがにちょっとやりすぎたかしら と出かける準備をしたものの
 部屋の掃除をしたり 窓の外を見たりして ぐずぐずしています
 掃除が終わったら出かけよう やっぱりお茶を飲んだら出かけよう と素直じゃないこと この上ありません
 
 すると そのうち扉を叩く音がします
 返事をすると 一匹の猿が慌てて入ってきて
 猫神と向こうの巫女神が戦争をしに来た!
 と大きな声で叫びます
 森の巫女神様が びっくりして外に出てみると
 そこにはみこにゃーさまと たくさんのみこにゃーさまの友がいました
 森の巫女神様は みこにゃーさまが怪我をしている様子も無いので ほっとしましたが すぐに焦りはじめました
 さっきの猿も とっくに逃げだしてしまい 森の巫女神様は ひとりぼっちでした
 最初は強がっていた 森の巫女神様も だんだん心細くなってきて ついには泣き出してしまいます
 それを見ると 猫神様たちは みこにゃーさまに任せて 村に引き揚げていきます
 
 みこにゃーさまは 森の巫女神様に近寄ると 頭を撫でてあげました
 すると 森の巫女神様は 不思議と心が すうっと軽くなりました
 そして ぽろぽろ涙をこぼしながら ごめんなさい とあやまります
 みこにゃーさまは どうしてわたしにいじわるをするの と聞きます
 でも 森の巫女神様は 首を振るばかりで何も言いません
 友達になりたいけど いじわるな自分がそんなことを言ったら ばかにされる と思ったのです
 
 そこにどしんどしん と大きな足音をさせて 竜がやってきました
 竜は 耳がとても良かったので お話を全部聞いていたのです
 森の巫女神様は 嘘がばれた怖さのあまり がたがたぶるぶると震えて 座り込んでしまいました
 竜は みこにゃーさまに勘違いしたことを謝ると
 森の巫女神様を食べるからこちらに渡せ と大きな声で言いました
 森の巫女神様は もう生きた心地がしません
 謝ろうとしても 怖さのあまり 声が出なくなってしまったのです
 するとみこにゃーさまが言いました
 
 竜さん竜さん こちらこそごめんなさい でも わたしの友達をたべないで そのかわりにわたしがなんでもします
 
 森の巫女神様は ほんとうにびっくりしてみこにゃーさまを見ます
 そして 勇気をふりしぼると 涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔で
 一生懸命一生懸命竜に 謝りました
 みこにゃーさまも 一緒に謝ります
 今度は 竜がすっかり困ってしまいました
 このままでは示しがつかない と思いましたが
 一生懸命謝っている二人を見ていると 自分が悪者に思えてきたのです
 
 そこに 猫神様たちが たくさんのごちそうとお酒をもってやってきました
 みこにゃーさまと 森の巫女神様の 仲直りのお祭りの用意をしていたのです
 竜は それを見るとすっかり機嫌がよくなり みんなでお祭りをすることにしました
 
 お祭りのあと みこにゃーさまは 森の巫女神様とふたりっきりで たくさんたくさん お話をしました
 星のこと 友達のこと 好きなお茶のこと そしてお互いのこと
 そうしてお話をしているうちに 夜が明けてお日様が昇る頃
 森の巫女神様が みこにゃーさまに目を閉じて欲しい と言いました
 みこにゃーさまが目を閉じると 森の巫女神様は みこにゃーさまに 仲直りのキスをしました
 でも 森の巫女神様が緊張してぶるぶる震えていたので 歯が がちっ と当たりました
 すると今度は みこにゃーさまが 森の巫女神様に 目を閉じてもらいました
 みこにゃーさまは ぶるぶる震えている森の巫女神様のほっぺたに両手を添えると 
 うえうえしたしたひだりみぎひだりみぎえーび− 
 と 唱えながら引っ張りました
 すると 森の巫女神様はびっくりして震えが止まり 目を開けました
 そこにみこにゃーさまは キスをしました
 森の巫女神様は 恥ずかしさのあまり ぶったおれてしまいました
 
 そのあと みこにゃーさまは みんなといつまでも 仲良く幸せに暮らしました
 めでたし めでたし 

原文(ひらがな)版はこちら

 考察
 このおとぎばなしでもっとも注目すべき点は、わが国の史実とは異なり
 最後に「みんながなかよくしあわせに」なっていることである。
 無論歴史学者たちの研究の優秀さは疑うべくもないが、
 われわれが知るものとは別の文明や歴史が存在した可能性もみえてくるのではなかろうか。
 また、「みこがみさま」たちの行動には今日のわれわれの生活のなかに根付いているものも多く見受けられる。
 「あたまをなでる」「おまつりをする」「ほおをひっぱる」など、
 現在の国民性には祖先の血が色濃く影響しているのかもしれない。
 研究の続報が待たれる。
 
 akiharu国立大学
 民俗学科の学生のレポートより一部抜粋

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