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mikonya

みこにゃーさまのおはなし

 むかしむかし このくにには みこがみさまという えらいえらいひとがいました
 でも みんなは 「みこがみさま」 だとよびにくいので 「みこにゃーさま」とよんでいました
 
 みこにゃーさまのおしごとは みんなが なかよくたのしくくらせるようにすることでした
 ひがしでけんかをするひとがいたら かけつけて ほっぺたをひっぱってあげます
 にしでないているひとがいたら かけつけて あたまをなでてあげます
 みなみでおこっているひとがいたら かけつけて おはなしをきいてあげます
 きたでおまつりをしているひとがいたら かけつけて おいわいをしてあげます
 
 みこにゃーさまは ねこをはじめ みんなのにんきものでした
 
 でも そんなみこにゃーさまを よくないとおもうひともいました
 それは もりにひとりですんでいる もうひとりのみこがみさまでした
 もりのみこがみさまは いじわるなことでゆうめいで さるや きつねとなかがよく
 みんなでみこにゃーさまにいじわるをしていました
 
 あるとき みこにゃーさまがひとりででかけることをしった もりのみこがみさまは
 らんぼうもののりゅうに みこにゃーさまがわるぐちをいっている とうそをおしえました
 りゅうは これをきくとすっかりうそをしんじて からだをまっかにして みこにゃーさまのところにとんでいきました
 みこにゃーさまは とてもおこっているりゅうに いっしょうけんめい おはなしをしましたが りゅうはきいてくれません
 いまにもおおきなくちでかみつきそうなりゅうに みこにゃーさまは すっかりこまってしまいました
 
 そのとき いっぴきのおおきなねこが みこにゃーさまとりゅうのあいだに あらわれました
 それは みこにゃーさまと なかのよい ねこがみさまでした
 ねこがみさまは いたちのおうさまから はなしをきいてあわててとんできたのです
 りゅうが おおきなくちをあけると そこにおさけをなげこみ みこにゃーさまをひっぱってはしりだします
 りゅうは おさけがだいすきなので おさけをのむのにむちゅうになってしまいました
 ねこがみさまは みこにゃーさまをのせて けをさかだてないようにしながら もりのみこがみさまのいえにむかいました
 うしろからは おおぜいのみこにゃーさまのともだちもついてきます
 
 そのころ もりのみこがみさまは おうちでおちゃをのみながら みこがみさまはどうなってるかしら とかんがえていました
 さすがにちょっとやりすぎたかしら とでかけるじゅんびをしたものの
 へやのそうじをしたり まどのそとをみたりして ぐずぐずしています
 そうじがおわったらでかけよう やっぱりおちゃをのんだらでかけよう とすなおじゃないこと このうえありません
 
 すると そのうちとびらをたたくおとがします
 へんじをすると いっぴきのさるがあわててはいってきて
 ねこがみとむこうのみこがみがせんそうをしにきた!
 とおおきなこえでさけびます
 もりのみこがみさまが びっくりしてそとにでてみると
 そこにはみこにゃーさまと たくさんのみこにゃーさまのともがいました
 もりのみこがみさまは みこにゃーさまがけがをしているようすもないので ほっとしましたが すぐにあせりはじめました
 さっきのさるも とっくににげだしてしまい もりのみこがみさまは ひとりぼっちでした
 さいしょはつよがっていた もりのみこがみさまも だんだんこころぼそくなってきて ついにはなきだしてしまいます
 それをみると ねこがみさまたちは みこにゃーさまにまかせて むらにひきあげていきます
 
 みこにゃーさまは もりのみこがみさまにちかよると あたまをなでてあげました
 すると もりのみこがみさまは ふしぎとこころが すうっとかるくなりました
 そして ぽろぽろなみだをこぼしながら ごめんなさい とあやまります
 みこにゃーさまは どうしてわたしにいじわるをするの とききます
 でも もりのみこがみさまは くびをふるばかりでなにもいいません
 ともだちになりたいけど いじわるなじぶんがそんなことをいったら ばかにされる とおもったのです
 
 そこにどしんどしん とおおきなあしおとをさせて りゅうがやってきました
 りゅうは みみがとてもよかったので おはなしをぜんぶきいていたのです
 もりのみこがみさまは うそがばれたこわさのあまり がたがたぶるぶるとふるえて すわりこんでしまいました
 りゅうは みこにゃーさまにかんちがいしたことをあやまると
 もりのみこがみさまをたべるからこちわにわたせ とおおきなこえでいいました
 もりのみこがみさまは もういきたここちがしません
 あやまろうとしても こわさのあまり こえがでなくなってしまったのです
 するとみこにゃーさまがいいました
 
 りゅうさんりゅうさん こちらこそごめんなさい でも わたしのともだちをたべないで そのかわりにわたしがなんでもします
 
 もりのみこがみさまは ほんとうにびっくりしてみこにゃーさまをみます
 そして ゆうきをふりしぼると なみだとはなみずでぐちゃぐちゃになったかおで
 いっしょうけんめいいっしょうけんめいりゅうに あやまりました
 みこにゃーさまも いっしょにあやまります
 こんどは りゅうがすっかりこまってしまいました
 このままではしめしがつかない とおもいましたが
 いっしょうけんめいあやまっているふたりをみていると じぶんがわるものにおもえてきたのです
 
 そこに ねこがみさまたちが たくさんのごちそうとおさけをもってやってきました
 みこにゃーさまと もりのみこがみさまの なかなおりのおまつりのよういをしていたのです
 りゅうは それをみるとすっかりきげんがよくなり みんなでおまつりをすることにしました
 
 おまつりのあと みこにゃーさまは もりのみこがみさまとふたりっきりで たくさんたくさん おはなしをしました
 ほしのこと ともだちのこと すきなおちゃのこと そしておたがいのこと
 そうしておはなしをしているうちに よるがあけておひさまがのぼるころ
 もりのみこがみさまが みこにゃーさまにめをとじてほしい といいました
 みこにゃーさまがめをとじると もりのみこがみさまは みこにゃーさまに なかなおりのきすをしました
 でも もりのみこがみさまがきんちょうしてぶるぶるふるえていたので はが がちっ とあたりました
 するとこんどは みこにゃーさまが もりのみこがみさまに めをとじてもらいました
 みこにゃーさまは ぶるぶるふるえているもりのみこがみさまのほっぺたにりょうてをそえると 
 うえうえしたしたひだりみぎひだりみぎえーび− 
 と となえながらひっぱりました
 すると もりのみこがみさまはびっくりしてふるえがとまり めをあけました
 そこにみこにゃーさまは きすをしました
 もりのみこがみさまは はずかしさのあまり ぶったおれてしまいました
 
 そのあと みこにゃーさまは みんなといつまでも なかよくしあわせにくらしました
 めでたし めでたし 

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