新たな力……「ヒロイック・パイロットへの変身」を手に入れたヒーロー達であったが、
未だ弱点を全て克服したわけではなかった!
それは連携! パイロット同士の同調を必要とする行為がてんでダメであったのである。
RBも航空機も乗員数が少なかったために今まで露呈していなかっただけだったのだ。
そもそもakiharu国のパイロットと言えばいっちゃった目で
「見える!」「そこぉ!」などとノリで攻撃するのが定石であり、
そのためせっかく発掘した士季号との同調に失敗し続けてきた苦い過去がある。
この機に克服すべく、特訓が続けられていたのだが──
ズオォォン!!
轟音を立てて、鋼の巨体が崩れ落ちる。
敗北したのではない。
その証拠に、機体の装甲には傷一つ付いていない。
しかしどういうことだろう。
特訓に使われていた士季号練習型の四肢はねじくれ、
名状しがたい姿となり果てていた。
その機体内の音声が、スピーカーを通して司令部に流れてくる……
『おいテメエ! 今度はファイヤーキャットモードだっていったろうが!』
『それはお前の意見だろう! 俺はサンダーバードモードに変形するつもりでだな!』
『もう、どっちにするかはっきりしてくださいよ! 困るのはコパイの僕らなんですから!』
『あ、あの、けんかはよくない、です!』
……何のことはない。
変形時の同調判定でファンブルを出していただけであった。
しかしこんなことで平和は守れるのか?
正義を体現することは出来るのだろうか?
訓練の様子を眺める司令官の表情は、暗い。
そんなときであった。
「緊急入電! 藩国沖合で海難事故です!」
「ターキッシュバン海上保安隊は?」
「ダメです! 海が荒れてて……ホバー機のターキッシュバンじゃ!」
「なんだって?!」
唇を噛みしめる司令官。
民衆を救えずして何がヒーローか。何が正義か。
『おいジジイ! 座標を教えろ!』
怒鳴り声に思わず顔を上げる
『だーかーら、座標を教えろ! ターバンでダメなら、士季号で行くしかねえだろ!』
「し、しかし……」
『迷ってる暇はない。司令官、場所を早く!』
これが先程までくだらないケンカをしていたチームなのか?
彼らに任せて本当に大丈夫なのだろうか……いいや、他に手段はない。
「……これより座標を転送する。正義を体現せよ!」
『任せとけ! 変身ッ!』
威勢の良い返答とともに士季号が宇宙戦闘機モードに変形する。
もちろん大気圏内飛行に適したモードではないが、
推力を生かして密林をショートカットするくらいは出来る。
だが揚力に問題があるためそのまま地面に近づいていく──
『行くぜ! タイミングを間違うなよ!』
『お前こそ失敗するなよ!』
あわや墜落というタイミングで戦車モードに変形、そのまま爆走開始。
向かう先は、事故発生地点の直線上にある崖。
そのままの勢いで戦車は走り──翔んだ!
『チェーンジ! ウォータードラゴン!』
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