炎の如く燃える夕日に照らされ、朱に染まる大地に立つ二人の漢がいた。
「西のォ!今日こそ決着をつけてやるぜ!」
 血気盛んな東のは、溢れる闘志を隠さぬままの瞳で、キッと西のを睨み付けた。 その口元は、これから始まる闘いへの隠しきれない高揚感でニヤリと歪んでいる。
「ハン、この俺が負けるかよ。」
 対する西のは、その巨体から発せられる覇気と威圧感とは対照的に、酷く冷めた目を持つ男だった。東のを見下ろしずっしりと構えている。
「てめェなんぞにこいつを使うのは勿体ねぇな」
 そう吐き捨てると、腰に差した木刀を抜いて傍らへ投げ捨てた。
「なにィ?俺もなめられたものだな!」
 東のは視線は西のを捉えたまま。ゆっくりと拳を握り、胸の前で構えファイティングポーズをとった。
 長く伸びる影の静かなる対立。
 果てなく続くと思われた静寂を破ったのは東の方であった。
「やぁあああああ!」
 雄叫びを上げ駆け出す。踏みこむ一歩に体重を掛け、加速。
 握る拳に速さを!
「うぉおおおおお!」
 西のは吼えた。同時に駆け出す。拳に掛けるのは重さ、圧倒的破壊力を!
 突き出された拳と拳が、今、交錯する……!!
 
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 番長、それは仁義に厚き漢。
 全てが無に帰った13ターン。
 これを強く踏み越えて全ての民の先陣をきった者達がいた。彼らこそ、そう、番長である。
 番長とは学生のうち、風紀を正す者や生徒を束ねる者の集団に端を発する。
 元々彼らは自らの学校や学園を守る使命を帯びていたが、その中でも特に友誼にあふれ面倒見がよく、誰からも慕われるリーダー的気質を持ち、かつ、圧倒的実力を兼ね備えた者があらたな称号を得たものとされる。
 彼らは苦境に立たされた国民たちを、ある時は強い言葉で勇気付け、ある時は自らの力を大衆のために行使することで助けた。そんな彼らを人々は敬意をこめて「番長」と呼んだのである。